個人事業主が確認しておくべきマイナンバーの5つ
2020/04/25
個人事業主とマイナンバー
今、何かと話題のマイナンバー制度。
個人事業主の私も自分なりに理解を深めようと思い、マイナンバーについて調べ、注意すべきマイナンバー制度のポイントを5つにまとめました。
- 個人事業主のナンバー
- いつ始まるのか?
- マイナンバーカード
- マイナポータル
- 書類
流れ
2015年10月から順次、「通知カード+個人番号カード交付申請書」が現住所へ送られてきます(発送が遅れている模様)。
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マイナンバーカードが必要な人は、個人番号カード交付申請書を提出する。
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個人番号カード交付申請書を提出した場合、2016年1月以降にマイナンバーカードが交付される(予定)。カードが届いたら、通知カードは市区町村の役所へ返納する。
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2016年1月以降、事業主で従業員がいる場合は、書類へ記載するため従業員の個人番号を教えてもらい、管理する。
1,個人事業主のナンバー
個人事業主の場合は、自分の個人番号を使用します。会社の場合は、法人番号。
2,いつ始まるのか?
まず、通知カードとマイナンバーカードは別物です。
通知カード
2015年10月から順次、通知カード+個人番号カード交付申請書が送られてきます。
「転送不要の簡易書留」で「住民票の現住所」へ発送され、郵便の「転居届」による転送は不可。簡易書留なので身分確認は必要なく、同居家族でも受け取れます。
引越しなどで住所が変わった人は、住民票の現住所を変更しましょう。
また、不在通知の追跡番号から別住所へ再配達できます。※つまり、自動転送は出来ないが、不在通知からの再配達(転送)は出来る。
参考記事:マイナンバー通知の「簡易書留」は転送・再配達が可能
本人受け取りなので不在の場合、7日間は郵便局で保管。
過ぎると市区町村の【通知カード担当課】または【市民課】に3ヶ月間の保管。
その後は破棄。
※通知カードの再発行には500円の手数料がかかります。
マイナンバーカード(個人番号カード)
通知カードと同封された個人番号カード交付申請書を提出すると、2016年1月以降にマイナンバーカードが交付される予定です。(通知カード自体の配布が遅れているようなので、定かではありません。)
マイナンバーカードが手元に届いたら、通知カードは市区町村の役所へ返納する必要があります。同時に、住民基本台帳カードも廃止、及び返納となります。
3,マイナンバーカードを持つメリットとデメリット
メリット
以下の物がマイナンバーカードに集約される可能性があります。
- 健康保険証
- 運転免許証
- パスポート
- 住民票コード
- 年金手帳
- 介護保険証
例えば、健康保険証と一緒になることで、領収書は必要なくなり、医療費の計算もしなくて済みます。
また、マイナポータルが使えるものメリットの一つです。
デメリット
まず、最初に確認しておきたいのがカードの紛失・盗難にあった際のリスクについてです。マイナンバーカードは、顔写真付き身分証明書です。顔が一致しなければ、悪用は出来ません。が変更することは可能です。以下を参照
マイナンバーが漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合に限り、本人の申請(又は市町村長の職権)により変更することができます。
番号を他人に知られるのは、どうでしょうか?もちろん、知られないことに越したことはありませんが、車のナンバーと同じで何の情報も引き出すことは出来ません。(車のナンバーから住所を特定できるのは警察だけです。)
マイナポータルへのアクセスも同様で、マイナンバーカードに内蔵されているICチップとパスワードが認証に必要ですので、情報を引き出すことは不可能です。(ログイン方法は、現段階では確定していません。)
とは言え、詐欺などで利用される可能性もあります。
自分のマイナンバーが特定されているという恐怖から動揺し、お金をだまし取られるといったことはありそうです。十分、番号の管理には注意しましょう。
4,マイナポータルで何が出来るのか?
- 行政機関が自分の情報をいつ、どこと使用したのか確認できる
- 行政機関が保有する自分に関する情報
- 行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報
- 各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報
- 引越しの際の官民横断的な手続のワンストップ化
- 納税などの決済をキャッシュレスで電子的に行うサービス
個人情報がいつ、どこで使用され、どこが保有しているかが分かります。行政機関からのお知らせや各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報が閲覧でき、控除額などをスムーズに計算することが可能になると思われます。また、引越しする際の手続きが簡略化するとのことですが、何が省略できるようになるのでしょうか?
- 運転免許:都道府県公安委員会
- パスポート:都道府県旅券窓口
- 自動車登録:地域の運輸局
- 転校届:就学児が通う小中学校
公的機関では以上のようなものがあります。民間では、
- 電気
- ガス
- 水道
- 電話
- テレビ
- インターネット
などです。公的機関の連携は難しくないでしょう。民間企業も、そのまま継続する場合は難しくないでしょうが、変更する場合はどうなるんでしょうか?少し難しい気もしますが。引越しが簡単になると、いいですね。
5,個人事業主のマイナンバー関連書類
個人事業主がマイナンバーを記載すべき書類は何なのか?分類別に分かりやすく整理して、理解を深めたいと思います。
- 源泉徴収票
- 支払調書
- 確定申告
- 社会保険(公的)
- 民間保険
- 銀行口座
従業員など他人のマイナンバーを集める際は、本人確認が必要です。本人確認の方法は以下の通りです。
- マイナンバーカード(番号確認と身元確認)
- 通知カード(番号確認)+運転免許証など(身元確認)
- マイナンバーが記載された住民票(番号確認)+運転免許証など(身元確認)
つまり、なりすましや不一致を防ぐために「マイナンバーが記載された書類」と「その書類と同じ住所が記載された顔写真付き身分証明書」が必要だということです。
源泉徴収票
従業員がいる場合は、源泉徴収票などを作成する際にマイナンバーの記載が必要であり、従業員のマイナンバーを集め、厳重に管理する必要があります。もし漏えいした場合、会社や事業主の責任を問われ、信用を損ねてしまいます。
支払調書
支払調書にはマイナンバーの記載が必要です。支払調書を作成する必要がある場合は、以下の通りです。
- 外交員、集金人、電力量計の検針人、プロボクサー、ホステスなどの報酬、料金、広告宣伝のための賞金(年間の支払い合計額が50万円を超える場合)
- 馬主に支払う競馬の賞金(その年中の1回の賞金額が75万円を超えた馬主に関わる、その年中の全ての支払金額)
- プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金(年間の支払い合計額が5万円を超える場合)
- 弁護士や税理士への報酬、作家やデザイナーの原稿料や画料、講演料など(年間の支払い合計額が5万円を超える場合)
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬(年間の支払い合計額が50万円を超える場合)
確定申告
確定申告にはマイナンバーの記載が必要です。配偶者や扶養家族がいる場合は、配偶者や扶養家族のマイナンバーも記載してください。
e-Taxで確定申告を行う際に、マイナポータルと連携して、入力を省いたり、控除額の自動計算が出来るようになると、とても便利ですね。国税庁でも以下のように利便性の向上の為の連携システムの構築を検討しているようです。
マイナポータルでは、民間サービスとも連携し、利便性の高いオンラインサービスをパソコンや携帯端末など多様なチャネルで利用可能にすることについて、内閣官房を中心に検討が行われていると承知しています。
国税庁においては、内閣官房における検討状況を踏まえつつ、これらが実現された場合を見据え、納税者の方の利便性向上を図る観点から、マイナポータルとe-Taxとの連携について、検討することとしています。
社会保険(公的)
社会保険にはマイナンバーの記載が必要、または連携されます。公的機関の社会保険には以下の種類があります。
- 医療保険(健康保険・船員保険・共済組合・国民健康保険・退職者医療制度)
- 年金保険(国民年金・厚生年金・共済年金)
- 介護保険
- 労災保険
- 雇用保険
民間保険
民間保険もマイナンバーの記載が必要になると思われます。民間保険には以下の種類があります。
- 生命保険
- 医療保険
- 火災保険
- 個人年金保険
- 自動車保険
銀行口座
将来的には、銀行口座もマイナンバーと紐づけされることになります。2018年から適用予定です。
新規口座の開設時に任意でマイナンバーを登録するようになります。
ですが、自分の資産を知られることは恐ろしいです。確定申告の簡略化くらいのメリットでは、割に合いません。青色申告の貸借対照表のように控除の増額など、他にも私たちに大きなメリットがあれば考えたいですね。
マイナンバーが銀行預金口座に適用されるのは、本法施行後3年後(2018年)をめどに、措置が講じられる旨が経過規程で定められました。
管理方法とセキュリティ対策
他人の個人情報を管理する為、情報の漏えいは責任を問われ、会社の信用を損ねます。セキュリティ対策は、何が必要でしょうか?
- 管理責任者の決定
- 従業員への教育(管理責任者だけでなく、全従業員)
- 管理するPCのセキュリティ(セキュリティソフト・OSのアップデート・ログインパスワード・※推奨:操作ログソフトの導入)
悪意があって故意にデータを流出させようとした場合、USBのデータ持ち出し、クラウドストレージへのアップロード、メールのファイル添付送信などデータの持ち出し方法も様々です。情報を漏えいさせると、どのような罰則があるかなど全従業員で個人番号についての知識を深めましょう。
PCのアカウントパスワードを管理責任者以外に分からないようにして管理責任者が複数にいる場合はそれぞれアカウントを別にして防ぐことは可能ですが、さらにPCの操作ログソフトで全ての操作が記録されていれば、誰がPCを開いたかも分かり、より良いと思います。
最後に
個人事業主に焦点を置いて、国税庁や内閣官房のHPから信憑性の高そうな記事を参考に整合性を確認し、情報をまとめました。皆さんの参考になれば幸いです。